本当の意味でインパクトを出すレポートのあり方とは?
当社が「ハーチ株式会社」として歩んだ10年を記録したインパクトレポート「Harch Impact Report 2025」の発刊を記念し、6月15日にダイアログイベント「Rewrite Our Futures ほしい未来へと編みなおす対話の場」を開催しました。第1部はオンライン・会場共通でZoomにて配信し、第2部は会場にお越しいただいたステークホルダーの方との対話セッションとして実施。普段はメディアを通じてお会いする読者やパートナーの皆様と、インパクトレポートを起点に直接対話する機会をつくりたいという思いから企画した1日でした。

なぜ今、インパクトレポートなのか
当社は2025年12月に創業10周年を迎え、ミッションを「Rewrite Our Futures(ほしい未来に、編みなおす)」に刷新しました。10年の歩みを振り返り、自分たちが生み出してきたインパクトとは何だったのかを見つめ直すこと。そして第二創業期と位置づけたこれからに向けて、関わってくださる皆様とのよりよい関係や未来の実現に向けた対話のきっかけをつくること。この2つが、今回のレポート発刊の背景にあります。
サステナビリティ経営推進担当執行役員の松田は、レポートに込めた思いをこう語りました。「きれいに整えられた成果だけを見せるレポートは、ともすれば自分たちから離れたものになってしまう。だからこそ、ポジティブな成果と同じだけの熱量で、課題や足りない部分もありのままに開示したい。」
レポート作成のプロセスにおいては、全社員が参加するワークショップを2回開催し、ハーチが生み出してきた変化を構造化。その後、ステークホルダーのかたとの対談セッションを5回重ね、5月の社内プレイベント・最終フィードバックを経て、レポートの公開へと至りました。
インパクトレポートの作成を通して、社内外さまざまな方との対話の機会を多く設けることができ、それが関係性の質を高めるきっかけとなりました。また、社内でも自分の仕事が社会の変化をもたらすことにつながっていると再確認できた、といった声も上がっていました。

2025年、ハーチが生み出してきたもの
レポートツアーでは、2025年の振り返りとして、IDEAS FOR GOOD、Circular Economy Hub、Zenbirdなど複数メディアを通じて延べ352万人の読者と接点を持ち、企業・自治体・教育機関あわせて245の組織(支援企業232社、支援自治体6、支援教育機関7校)とともに共創プロジェクトを進めてきたことを共有しました。
さまざまな取り組みから、「未来をもっとよくできるという希望を、どうすれば、すべての人たちが持ち続けられるのだろうか?」という問いに立ち返り、ハーチでは2つのアプローチを作っていきました。メディア運営を通じて生活者一人ひとりの価値観や文化の変容を促す「よいアイデアを広げる」アプローチと、企業や自治体との協働を通じて具体的な社会システムの変革を生み出す「アイデアを形に変える」アプローチです。

海外ではリペアカフェのドキュメンタリーが多くの国で上映会を生み、台湾では現地企業との共同研修プログラムを実施。国内では企業や自治体と連携した勉強会やワークショップの開催など、メディアの外に飛び出した活動も広がってきました。
こうした取り組みが生み出してきた変化を、ハーチでは短期・中期・長期のアウトカムとして捉えています。新しい知識や視点に出会う「学び・体感・つながり」から、暮らしや職場での小さな実践が始まる「対話・実践・拡大」、そして立場を超えた共創によって希望がめぐる社会へと向かう変化へ。
参加者の皆様にも「ハーチの取り組みから、どんなアウトカムを実感したことがありますか」とSlidoで問いかけ、「違った視点の意識が生まれた」「社会を良くする取り組み背景や想いに触れられる」、さらには「この社会や世界も、捨てたものじゃないと思える」といった声が、リアルタイムで寄せられました。

社会的意義と経済合理性の両立に向けた試行錯誤
レポートでは、成果だけでなく当社が向き合っている課題も共有しました。誰もが情報を集め、ゼロコストで発信できる時代に、チームでメディアを運営する意味とは何か。代表取締役の加藤佑は、AIの急速な普及によってデジタルメディア事業の前提そのものが揺らいでいる現状を語りました。サステナビリティや循環経済の領域は伸びているものの、それだけでは事業全体を賄いきれない。社会・環境的インパクトの追求と、事業としての持続可能性──その社会的意義と経済合理性の両立に向けた試行錯誤が、今も続いています。
新しい挑戦:アーティクル株式会社(Artiql Inc.)の設立
そして対談の冒頭、加藤からひとつの大きな発表がありました。当社は、事業提携パートナーであるフューチャーセッションズとの合併を決定。2026年6月30日、新社名「アーティクル株式会社(Artiql Inc.)」として、新たな体制でスタートすることになりました。
加藤は、合併の背景にある問いをこう説明します。AIによって誰もがコンテンツを作れる時代に、メディアという業態の価値はどこにあるのか。たどり着いた一つの答えが「これからの時代、メディアの価値は、プロセスとなり、プレイスとなる」という方向性でした。情報そのものよりも、それを誰とどう作っていくかという過程(プロセス)に価値が生まれていく。そしてAIには置き換えられない、リアルな空間・時間・人間が重なる場所(プレイス)の重要性が、これからますます高まっていく。この仮説のもと、対話・共創支援のプロフェッショナルであるフューチャーセッションズと手を組むことを決めました。

対談には、フューチャーセッションズ副社長の筧大日朗氏も登壇。両社のシナジーについて、質の高いインプットと知見に溢れたハーチのメディアの力が、より良い対話を生み出す前提になること、そして対話の場で生まれた価値や問いを、より多くの人に届けていくうえでメディアの拡散力が欠かせないことを挙げました。「自分ごと」を高めるポイントは、自分で決める瞬間をどれだけ増やせるか。参加者自身がより望ましい未来を選び取っていくプロセスこそが、社会の変化につながっていくという視点も共有されました。
これからの3つの挑戦として、対談では以下が紹介されました。
Product:IDEAS FOR GOOD 2.0(2026年7月ローンチ)
「読む(READ)」だけでなく「集う(MEET)」メディアへ。デジタルからリアルへ、発信から受信・対話へとシフトするリニューアルです。
Place:Sta.R(ステーション・アール)(2026年8月オープン予定)
横浜市にぎわいスポーツ文化局との協働事業。Creativity(創造)・Circularity(循環)・Culture(文化)をテーマにした拠点です。
Process:プロセスとしてのメディア(Media as Process)
フューチャーセッションズとともに磨いていく、ファシリテーションそのものをメディア体験にする試みです。
第2部:ロジックモデルを、ともに育てる対話へ
休憩を挟んだ第2部は、会場にお越しいただいた方との対話セッション。テーブルを囲み、3つのラウンドで対話を重ねました。

ラウンド1では、レポートや第1部の内容から印象に残ったこと、ハーチに感じるインパクトをシェア。ラウンド2では「ハーチと協働するインパクトをさらに大きくするために、自分ごとで取り組んでみたいこと」をテーマに、関心のあるテーマやアイデアを各自持ち寄り、引き寄せ合うメンバー同士でチームを再構成しながらブレインストーミングを実施しました。そしてラウンド3では、それぞれのチームで印象的だった対話と、今日の対話を持ち帰ってこれからやりたいことを、3つの大グループに分かれて共有しました。
ラウンド2の「自分ごとで取り組んでみたいこと」では、たとえば「B Corpを巻き込んだ対談企画」「Artiqlアイデアハッカソン」「地元地域をArtiqlと一緒にサーキュラーシティにしたい」という具体的なアイデアが多く出ていました。
「やりたいこと」にとどまるのではなく、今後もさまざまなパートナーの皆さんとアイデア実現に向けて今後も進めてまいります。
編集後記
今回のイベントは、当社にとって創業10年の歩みを振り返るだけでなく、足りない部分も含めてありのままを共有し、フューチャーセッションズとの合併という新しい挑戦を発表する、大きな節目の場となりました。会場では大川印刷さんによる環境配慮型の冊子版レポートやB Corpや地元・赤坂のお菓子もご用意し、対話の合間にも当社らしさを感じていただけたのではないかと思います。「プロセスとなり、プレイスとなる」というメディアの未来像、そしてアーティクル株式会社としての新しいスタートにご注目ください。

インパクトレポートの作成を、対話の機会に。「自社でもロジックモデルを設計したい」「対話型のレポート作成を試みたい」という企業・自治体の皆様は、ぜひお気軽にご連絡ください。
【関連サイト】Harch Impact Report 2025
【関連サイト】株式会社フューチャーセッションズ
