異なる文化を持つ組織の統合において、多くの企業が理念やビジョンの共有に力を注ぎます。しかし実際に成果を分けたのは、理念を語ったかどうかではなく、情報をどれだけ共有したかでした。
この構造的な課題に対し、Webメディア運営・サステナビリティ支援事業と共創ファシリテーション事業を手がける当社は、組織変革を対話で進める伴走プログラム「RETOTYPE for Synergy(リトタイプ・フォー・シナジー)」の提供を開始しましたのでお知らせいたします。
▶サービスページ:https://artiql.jp/retotype_synergy/
開発の背景
組織変革の際には、新しい姿を先に描いて伝えるだけでは、その未来像は日々の仕事と結びつきにくく、シナジーは計画のまま動かないことも多くあります。
上場企業を対象とした調査では、M&A後の統合において困難な項目の1位は「組織風土・文化」でした(※1)。同じ調査では、組織風土・文化の融合施策として「経営理念・ビジョンの共有化」を挙げた企業が76.5%と最多である一方、「経営理念・ビジョンの共有化」は、成功企業よりも非成功企業のほうが選択割合が高いという結果も示されています。成功企業が非成功企業より重視していたのは、「従業員への積極的な情報提供」と「従業員間での業務情報の共有化」でした。
理念を掲げて伝えることが、統合の成果と結びついているわけではありません。また、決まったことを後から伝える進め方では、伝えられた側が「自分たちのものだ」と感じられるものにはなりません。
中小企業庁「中小PMIガイドライン」(令和4年3月)は、PMIを「経営統合」「信頼関係構築」「業務統合」の3領域で整理し、M&A成立後の統合プロセスの重要性を示しています(※2)。しかし実務では、財務・法務のデューデリジェンスを担う専門家は数多くいる一方、人と文化の側を設計・伴走する支援は限られています。
※1:森口毅彦(富山大学)「わが国企業におけるM&Aの成否評価とPMIの実態」(2017年3月)
※2:中小企業庁「中小PMIガイドライン ~中小M&Aを成功に導くために~」(令和4年3月)
「RETOTYPE for Synergy」とは?
過去を再解釈し、未来を描き、実装する。その移行の過程で、シナジーは生まれる。
RETOTYPE for Synergy は、経営層も現場も同じ土俵に立ち、これまでの過去やDNAを再解釈するところから始めるプログラムです。そこからありたい未来を描き、実装まで一緒に設計します。シナジーが計画から具体に変わるのは、この移行の過程です。
プログラム名の「RETOTYPE」は、新しい型を外から当てはめるのではなく、それぞれの組織にすでにある型を対話で掘り起こし、編みなおすという考えから名付けています。
変革を現実にする、3つの段階
- 01 過去の再解釈:私たちは、これまでの何を活かし、何を変えるのか
- 02 未来の構想:私たちは、どんな未来をつくりたいのか
- 03 実装の設計:ありたい姿へ、何を、誰と、どの時間軸で変えていくか
人と文化が動く変化では、新しい姿を描くことから始めるのではなく、まず自分たちがこれまで何をやってきたのかを捉え直すことからはじめます。
対話が効く、3つの領域
- FIELD 01:M&A・PMI
- 制度も業務も「どちらのやり方に合わせるか」という力関係の問題になる
- 方向性が見えない不安が放置され、優秀な人ほど転職
- ディール時に描いたシナジーが、誰がいつ何をやるかのプロジェクトに落ちない
- FIELD 02:部署内・部署間・グループ会社の連携
- 連携が担当者の持ち出しになり、それぞれの通常業務と評価指標に負ける
- 個人やチームごとに前提と優先順位が違い、同じ言葉を使っているのに話が噛み合わない
- FIELD 03:事業承継・グループ再編
- 先代が築いてきた文化と、後継者が描く構想が接続されない
- 変更が「否定」として受け取られる
- 自社の合併で実施した、15回の対話セッション
本プログラムは、アーティクルの合併プロセスで実施した内容を原型としています。アーティクルは2026年6月に旧ハーチ株式会社と旧株式会社フューチャーセッションズが合併して発足しました。この合併に向けて2025年10月から、両社の全メンバー44名を対象に15回の対話セッションを実施。セッションの設計・進行・記録・成果物の制作は、外部に委託せず、すべてアーティクルのメンバーが担っています。
実施したセッション(抜粋)
- オフィス統合に伴う2社合同キックオフ
- 未来シナリオの構想
- メディアブランドの再定義セッション
- 合併の社内発表直後の全社セッション
- 5日間の集中検討会(社名・組織体制・事業アイデアを決定/録画とオンラインホワイトボードを全社に公開)
- 組織文化・社名検討セッション
- CI(※4)共創ワークショップ(バリュー図・ブランドエッセンス・ロゴ)
- 対外発表(インパクトレポート発刊記念ダイアログ、共創総会)
セッションの結果
合併後の2026年7月に全メンバーを対象として実施した「組織統合に関する振り返りアンケート」では、次の結果が得られています。(自社による調査。回答者数30名)
- 相手企業への理解が深まったかについて、87.1%が5段階評価で「4以上」を回答(平均4.32/「まったく深まっていない」の回答は0%)
- 相手の会社・人への印象が「良い方向に変わった」が80.6%、「悪い方向に変わった」は0%
- 合併への気持ちを「4以上」と答えた割合は、最初に話を聞いたときの58.1%から、統合後は71.0%へ(+12.9ポイント)
一方で、多様な意見は出せても納得しながら収束させるのは難しい、前向きな場ほどネガティブな意見が出にくいなど、対話を尽くしてもなお残った課題もあります。これらはホワイトペーパーに記載しています。
※4:CI(Corporate Idenity):自社らしさを定義する経営戦略

「RETOTYPE for Synergy」提供パターン
過去の再解釈やシナジーが生まれる土台づくりから、実装に向けた動き出しまで、目的と期間に応じて選ぶことができます。
1. 過去の再解釈の1日実施
過去の再解釈を体験する。経営層と現場が同じ場で話したときに何が出てくるかを確かめる
2. シナジーの土台づくり
これまでを捉え直し、ありたい姿を自分たちの言葉にする。名前・旗印・提供価値といった、実装に向けた拠りどころを共創する
3. シナジーの創出
3段階を通して伴走する。描いた未来への移行を一緒に設計し、社外のステークホルダーまで巻き込む
いずれのパターンにも、ロゴ制作/年表の共同制作/インパクトレポート制作/ステークホルダーへのイベント機会/ファシリテーター育成/取材記事制作をオプションとして組み合わせることが可能です。日々の業務への実装には、ワークプレースを軸にICT・人/組織・プロセスを総合的に設計します。
アーティクルだからできること
対話と編集の専門家が担う場の設計
対話の設計、ブランド・CIのデザイン、編集・レポート制作をそれぞれの専門チームが一つのチームとなって一気通貫で担うため、断絶を生まずにデザインすることができます。
社内で完結させず、外との関係で育てる
アーティクルはメディア運営と共創の場づくりを事業として持っているため、決まったことは社内に閉じず、顧客・パートナー・読者に届けて第三者の反応を受け取るところまで設計できます。
アーティクルが自社の合併で使用した型
アーティクルは合併のプロセスで15回の対話セッションを実施。設計から成果物の制作まで自社で担いました。成果だけでなく残った課題も公開しているので、中身を確かめてから判断いただけます。
想定する対象企業
- 将来的に M&A・買収を検討している、または統合の途中にある中小企業
- 統合は完了したものの、一体感が生まれていない中小企業
- 部門・チーム・グループ会社をまたぐ連携を動かしたい上場企業
- 事業承継やグループ再編を控えている企業
- ミッション・ビジョン・バリューを、経営だけでなく全社で再定義したい企業
9/10開催 Retotype for Synergy セミナー
M&A・PMI、部署間連携、事業承継。組織が変わる場面で、なぜ計画だけでは進まないのか。自社の合併で15回の対話を重ねたアーティクルが、過去の再解釈から実装までの進め方と実例をご紹介します。
- イベント名:過去の再解釈からはじめる組織変革|Retotype for Synergy プログラム説明会
- 日時:2026年9月10日(木)17:00〜18:00(16:50開場)
- 場所:オンライン(Zoom) ※参加URLは登録後にご案内
- 参加費:無料
リトタイプの考え方や活用イメージを直接ご紹介するセミナーです。後日アーカイブ動画を申込者限定で配信しますので、ご都合が合わない方も安心してお申し込みください。
▶ 詳細・お申込み:https://retotypeforsynergy.peatix.com
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